ルーム・トゥ・リード・ジャパン対談 Vol.01

株式会社オオクシ
鈴木 美樹

株式会社オオクシ本社管理部・部長
全従業員が安心して働ける環境つくりのため、総務、経理、
広告デザインから広報にいたるまであらゆる仕事を行っている。

特定非営利活動法人 ルーム・トゥ・リード・ジャパン
松丸 佳穂

特定非営利活動法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン事務局長
途上国に教育支援をするルーム・トゥ・リードの活動に深く共感。
日本で寄付文化を創造すべく日々奔走中。

「ルーム・トゥ・リード」とは
ルーム・トゥ・リード は、マイクロソフトの幹部社員だったジョン・ウッドにより2000年に創設された、開発途上国の子どもの人生を、読み書きの習得と男女平等の教育機会から変えていくことを目指した国際的なNGOです。
“子どもの教育が世界を変える”という信念のもと、すべての子どもが初等教育の間に読み書きと読書習慣を身につけること、女子学生が中等教育を修了することを、現地コミュニティ、パートナー組織、政府機関と協働でサポートしています。 教育は子どもたちにとって生涯の贈り物になると、私たちは信じています。

鈴木:ではまず、自己紹介をしていただけますか?

松丸:NPO法人ルーム・トゥ・リード・ジャパン の事務局長をしております、松丸 佳穂と申します。よろしくお願いします。

鈴木:松丸さんはルーム・トゥ・リード・ジャパンに何年くらい携わっているのですか?

松丸:ルーム・トゥ・リード・ジャパンにボランティアとして参加したのが、10年近く昔のことになります。
当時、ルーム・トゥ・リード・ジャパンが日本での広報をボランティアとして探していました。
そのタイミングでたまたま友人から声がかかり、ボランティアではありますが広報というかたちで、ルーム・トゥ・リード・ジャパンをサポートし始めました。そして、2010年の1月にルーム・トゥ・リード・ジャパンという正式な組織が立ち上がり、私もルーム・トゥ・リード・ジャパンへ転職し、本業として活動し始めてからちょうど6年が経ちます。

鈴木:そうですか。ボランティアをやろうと思われたときは、まだ本業のお仕事もされていたのですね?

松丸:そうです。なので、空いてる週末や平日の夜を使って活動していました。新しいことをするとなると大変だったかもしれませんが、元々広報などの業務を経験していたので、いざ本のPRをするとなってもお手伝いをして人を紹介したりイベントのサポートをしたり、自分の出来る範囲で活動していたので全然負担ではなかったです。

鈴木:最初に携わったときから今までで何か印象的なエピソードはございましたか?

松丸:2010年にルーム・トゥ・リード・ジャパンを立ち上げたのですが、翌年3月には、東日本大震災が起きました。
ルーム・トゥ・リード・ジャパンへの支援は、日本に住んでいる外国人の方々からいただく場合がとても多いのですが、震災当時は皆さん一時的に日本を離れたり、全般的に見ても今まで途上国の子供達のためにあった支援が、もちろんではありますが日本の支援へ優先されたときには、この先どうなるのかと思いました。

鈴木:確かに、それは不安になりますね。

松丸:ただ、法人を立ち上げてから1年目は本当に大変でただがむしゃらに走った時期でしたので、2年目に東日本大震災が起きたことにより、それをきっかけに少し立ち止まって振り返ることができたのです。
ルーム・トゥ・リード・ジャパンは、途上国の子供達の教育支援という強みに焦点を当てて活動し成果を出しているため、日本での活動はそれを専門としている人達に任せて、私達は途上国の課題解決をしていこうという覚悟が震災をきっかけに改めて定まりました。
もちろん、2011年は日本も途上国もと両方支援してくださった方もいらっしゃいました。

鈴木:東日本大震災が転機になったわけですね。

松丸:以前、この話をオオクシ社長に初めてお会いしたときにさせてもらったのですが、オオクシ社長も「震災が発生したときには、先は見えなかったけれどもスタッフを1人も切らないと覚悟を決めた」とおっしゃっていたのが印象深かったです。2010年に立ちあがったルーム・トゥ・リード・ジャパンですが、2011年に一度立ち止まって、ある意味2012年にもう一回新たなスタートを切った感覚です。

鈴木:弊社も2011年に東日本大震災が発生したとき、発生から5日後に新規オープンする店舗がありました。
もうオープンが決まっている店舗に関してはオープンしましたが、営業できない店舗もあったので、正直どうしたものかと社長と一緒に悩みましたね。もちろん社長の方が私なんかよりも悩んだとは思うのですが、そういった経験もあったからこそ寄付のことも議題にあがりました。ただその当時は本当に申し訳なかったのですが、千葉で被災された方々へと寄付金を回させていただいて、翌年からはルーム・トゥ・リード・ジャパンさんに寄付をさせていただいた経緯があります。

松丸:ありがとうございます。オオクシさんには長年にわたって支援していただいて居ますが、お客様・従業員の方といった皆さんでのご支援をとても大切にされているので、1つの企業の社会貢献の事例として私達もいつもお話しさせていただいています。


鈴木:お客様にも、なんらかの形でいろんなことに貢献したいという方が多いですね。
お客様の1円が寄付になることを後で知ったりすると喜んでいただけることが多く、「いい会社ね」「いいところに勤めてるのね」とお客様に仰っていただけるので、スタッフにとっても社会貢献をしていることが良いモチベーションになっていると思います。

松丸:そうなのですね。良かったです!

鈴木:この間ルーム・トゥ・リード・ジャパンさんに送っていただいた冊子を読ませていただいたのですが、その中でも識字率が気になりました。女性が勉強している場合が非常に少ないということが、未だに現状としてあるのには驚きまして…。支援を始めた頃から、識字率は上がってきているのですか。

松丸:日本で字の読み書きができないっていうのは、なかなか想像できないことですよね。
いつもお話しさせていただいているのですが、字の読み書きができないというのは命に関わる問題なんですね。例えば紛争地域ですと、紛争が終わっても地雷が埋まっている地域とか、今でこそ絵などでサインを出すようにしてはますが、やはり「地雷注意」という文字が読めないがために、
命を落としたりだとか、子供達がそこに入ってしまって大きな怪我をしたりしています。
それからお母さんでも字の読み書きができないと、処方箋が読めないので誤って規定以上の薬を子供に飲ませてしまったりと、字が読めれば防げた事故も起きています。
よく学校とか図書館を建てれば字の読み書きができるようになるのではないかと思われてしまうのですが、建物を建てるだけでは解決ができません。

鈴木:そうだったんですね。日本に住んでいると全く想像すら出来ません…。

松丸:ルーム・トゥ・リード・ジャパンは、識字教育、女の子の女子教育プログラムにフォーカスしています。
この識字教育というのは、小学校1.2年生の初等教育の間に字の読み書きがしっかりできるようになるということを目標にしています。それには何が必要かというと、もちろん学校や図書館も必要ですが、途上国が必要としているのは現地語で書かれた本なのです。
途上国では、現地語で書かれている絵本というのが圧倒的に不足しています。理由としては簡単で、それがビジネスにならないからです。絵本を出しても買えないということは、そういった本を出してもビジネスにならないので、子供達が学ぶ学習素材がないのです。
そのため、ルーム・トゥ・リード・ジャパンは現地で出版社としても活動をしています。

鈴木:寄付をした段階で、私達にとって寄付というのは一旦終わりになってしまうのですが、寄付金がどのように使われて、そしてどのようになっていくのかということを今お聞きして、ちょっとびっくりしました。
読み書きができないことで死につながるなんて日本ではありえないですよね。途上国では、読み書きがわからないために命を落としたりだとか、地雷によって手や足を失くしたりしているわけですよね。
そういった現実がまだまだ世界にあるというのが非常に衝撃で、こういったことを本当に世界レベルで考えていかなければならないですね。


松丸:本当にそうですよね。私もルーム・トゥ・リード・ジャパンのサポートをする前は、図書室を作ると子供達が喜ぶという話を聞いたときに「本当かな?」と疑問に思うことはありました。
でも実際に自分が現地に行くと、テレビがあるわけでもないし娯楽もないし、学校に行ってもらえるテキストが白黒の藁半紙みたいなもの一冊なんですよね。
ルーム・トゥ・リード・ジャパンが支援する学校にある、オオクシさんに造っていただいた図書室は、私たちが見慣れたカラフルな教材が溢れた図書室なんです。
カラフルな教材などは、子供達は見たことがないので飛びつくんですよね。また、よく「その子供達は将来成功するのか」と聞かれるのですが、成功の定義っていうのはそれぞれあると思いますし、成功は私たちが用意するものではなくて、やっぱり彼ら次第なんですよね。私達は、機会に関しては用意したいと思っていますが、その結果どうなるかというのは本人次第です。
私たちも職員同士で、私たちが支援している地域の子供達から国を動かすリーダーや、企業や大統領が出てきたら嬉しいよね、ということはよく話しています。
それが夢というか、本当にそういうことがあったら感慨深いですね。